根拠のある教育を!

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〜教育について考えるブログ〜

時間外労働は教員の満足度を下げるのか?【卒業論文】

 

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こんにちは、しんです。

 

ここ数ヶ月、卒論にかなり力を割いていたので、ブログ更新してませんでした。

心待ちにしていた人がいるとは思ってないので謝りはしません。笑

 

やっとこさ卒論書き終わったので、その内容をちょびっと記事にしたいと思います!!(書き終わってほっとしてる)

 

 

教員の時間外労働と職務満足度の関係

 

ずばり、卒論のテーマがこれです。↑

 

はじめは「教員の職場環境が満足度に与える影響」を分析したかったんですけど、やってくうちにテーマが変わりました。

それについては後で書きます。

 

以前TALIS2018の記事でも書きましたが、日本の教員の勤務時間は世界最長です。

平均週56時間。

 

しかも、年間の精神疾患による休職者数は約5000人です。

病気休職者全体の65.1%がうつなどの精神疾患による休職です。(文科省より)

 

職務満足度が精神疾患を引き起こすと主張する論文もありますし、一般的にも職場に満足してない方が離職率も高そうですよね。

 

そういう文脈で、教員の勤務時間と職務満足度についての分析をしたい!と思ったわけです。

 

精神疾患のデータと比べたら、満足度のデータは簡単に手に入りますし…。笑

 

TALIS 2018

 

使ったデータはTALIS 2018のsecondary schoolのデータです。

 

詳しくは以前の記事を読んだりググってみてほしいんですけど、簡単に言うと「教員に対していろんな質問をした調査」って感じです。

 

その中のいくつかの質問を選んで、量的分析をしました。

 

 (以前書いたTALISの記事↓↓↓)

shin-catus.hatenablog.com

 

残業は満足度を下げない?!

 

ロジスティック回帰分析と傾向スコア法というふたつの分析をしましたが、難しいので内容は省いて結果だけ書きます。

 

結果としては、

 

  • 同僚との関係性や学校の雰囲気が良いと、職務満足度も高くなる傾向がある。(相関関係)
  • 勤務時間そのものはそこまで満足度に影響がない。(相関関係)
  • 過労死ラインを超えて働く教員は、職務満足度が低くなる。(因果関係)
  • 過労死ラインには達しないが時間外労働をしている教員は、職務満足度が高くなる。(因果関係)

 

相関関係と因果関係についても昔記事を書いたので興味がある人はぜひどうぞ↓↓↓

shin-catus.hatenablog.com

 

注目してほしいのは、因果関係のところです。

 

過労死ラインに達する教員は当然のごとく職務満足度も下がっています。

しかし、残業はしてるけど過労死ラインまではいかない教員に関しては、逆に職務満足度が高くなるという結果が出ました。

 

僕は、残業は無条件に満足度を下げると思っていましたが、実はそうではなさそうです。

 

教員という職業に限って言えば、過労死ラインに達しない程度の残業は逆に満足度を高めるかもしれない、というのが今回の僕の卒論の結論です。

 

もっと自分を大切にしてほしい。

 

上の結果は、教員の奉仕精神や責任感などに起因していると考えられます。

 

それにかまけて年間9000兆円をぼったくっているのが日本政府なのですが、それでいいのか!って思います。

 

僕も教員を目指そうかな〜と思ってるので自分ごととして考えますが、仕事量が多すぎるからとはいえ子どものためになかなか手を抜けないのが教員です。

 

さらに残業代も出ない、周りの先生もみんな残業が当たり前、となれば、自分の時間外労働に対して疑問を持たなくなってしまってもおかしくはありません。

 

子どものために尽くす姿は素晴らしくて、立派だと思いますが、その頑張りが教員全体に波及して過労死が生まれているとも考えられなくはないです。

 

すごく受け身な解決策しか提案できないのが心苦しいのですが、まずは時間外労働をやめましょう。

 

…って言ってもそれができたら苦労しないんですよね、、

 

とにかく、自分の裁量で減らせる仕事はどんどん減らしてもいいと思います。

 

どんなに子どもがかわいくっても、結局は他人の子です。

度を越して教員が出張ってしまうのは、その子自身の家庭の成長にも繋がりません。

 

子どもの自主性と家族の絆を信じて、そっと鞘に収めることも考えてみてもいいんじゃないでしょうか。

 

きっとその先に、残業が当たり前ではない世界が待っています。

 

一番大切なのは自分の体です。

自分をもっと大切にしてほしい。

 

それが今回卒業論文としてではなく、ブログ記事として僕が伝えたいことです。

(こういう感情的なことは論文に書けない…)

 

最後に

 

最後に、この論文の信憑性について。

 

今回の分析では、相関関係ではなく因果関係を推計しよう、というのがゼミ全体での課題でした。

 

そのためにいろんな手法を試して自分に合ったものを探して、その結果として研究テーマが変わったわけです。

 

ただ、まああくまで学士論文だし。

教授は「私の修論よりいいです」なんて言ってくれたけど、査読されてるわけでもないし、とてもじゃないけど信憑性があるとは言えません。

 

今回は「単なる残業」と「過労死ラインを超える残業」の2つを振り分けの基準値としましたが、満足度への影響が正から負になる転換点がどこかにあるかもしれませんし、まだまだ改善の余地はあります。

 

単純な相関関係の方が読み手としては受け取りやすいまでありますね。笑

 

ですが、僕の4年間の集大成として、暖かく読んでいただけていたら幸いです。

 

 

以上です。

ありがとうございました!

 

次は「教職課程とるかも?!」について書こうかな〜。