根拠のある教育を!

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〜教育について考えるブログ〜

【日本教育の現状】別垢を作って5ヶ月で知った5つの真実

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こんにちは、しんです!

 

僕が今のTwitterアカウントを作ってから5ヶ月経ちました。

 

最初は知り合い0フォロワーも0の状態からスタートして、今では80人以上の方がフォローしてくれてます。

いつもありがとうございます。笑

 

✳︎

別垢を作ってから5ヶ月。

 

教育経済学の面から日本の教育問題を変えたいと活動してきました。

 

世の中では「教員の働き方改革」なんて言われてますが、一般の人(特に若者)でその問題点を明確に理解してる人は少ないんじゃないでしょうか。

 

僕も最初は「教員ってどうもめちゃくちゃ忙しいらしい」くらいの知識しかありませんでした。

 

でもTwitter教員の方々のツイートを拝見して、今まで自分にはなかった考え方、知らなかった現実などを思い知らされました。

 

日本教育の現状は、当初僕が思っていたよりもはるかに深刻で、根深い問題です。

 

今回の記事は、「僕が別垢を作って初めて知ったこと」について書きます。

 

教員の間では当たり前に周知されている問題も、一般の人には意外と知られていないこともある。

 

そのような問題について、多くの人が情報を得て、危機感を抱いてもらえるならば、日本教育の未来にも希望が持てます。

 

というのも、日本は若者(主に20代前半)の選挙の投票率がすこぶる低いです。

もしその若者たちが教育の問題を知り、危機感を感じるならば、政治に求める教育の質や教員の働き方がもっと良いものになるのではないでしょうか。

 

 

そのための力になりたくて、こうして発信させていただきます。

もしこの記事が多くの人に読まれるべき価値があると思っていただけるのなら、読み終わった後にでも拡散してください!

 

千里の道も一歩から。

一人ずつ味方を増やしていくしかないんです。

 

 

1. 慢性的な教員不足

文部科学省の発表によると、平成29年度始業日時点における小中学校の「教員の不足数」は266人です(11自治団体が調査対象)。

中学校に至っては、教科担任が不在のために必要な授業が行えない学校まで現れています。

 

主な原因としては、いわゆる「団塊の世代」と呼ばれる1947〜49年の間に生まれた世代が2007年ごろから一斉に定年退職を迎えたためだと考えられています。

教員が不足しているにもかかわらず、教員採用試験の倍率は低下しています。(下図参照)

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教員という職業はとてもやりがいのある誇らしい仕事であるはずが、志望者の減少によって窮地に立たされています。

 

教員の採用年齢を引き上げたり、すでに退職している教員の再任用を積極的に行ったりというのが文科省の対策らしいですが、教員という職業の魅力を引き出せなければその場しのぎの対応にしかならないでしょう。

 

教委側も「教員の魅力を伝える」ことが大切だとおっしゃってますが、僕とはそのための前提が全く異なってると考えてます。

 

後述しますが、校務分掌や部活指導などの授業業務外の仕事や給特法などが改革されない限り教員の再魅力化は果たせないのではないでしょうか。

 

2. 非正規教員

ところで、教員にも非正規雇用があるのはご存知ですか?

恥ずかしながら僕は知りませんでした。

 

一般的に教員になるには教員免許が必要です。

では、教員免許を取得すれば教員になれるかというと、必ずしもそうではありません。

 

企業が人を雇うように、学校も人を雇います。

それが教員採用試験です。

 

これがなかなか大変で、倍率が下がってきているとは言ってもそんなに簡単に突破できるものではありません。(地域にもよりますが)

現にうちの母も今年の教採に落ちてしまいました。

 

しかし、教採に落ちても教員になる道はあります。

いわゆる臨時採用・講師と言われる非正規教員です。

 

産休や育休、病気などの影響で学校を離れなければならなくなる先生は実は結構な数います。

そうして抜けてしまった先生の穴を埋めるのが臨時採用の先生方です。

 

講師に関してはなるさわばしこ先生の記事がすごく良かったので貼っておきます。

narusawabashiko.hatenablog.com

 

教員不足の背景には育休・産休取得者の増加があるのですが、それを埋めるはずの臨時採用者の数すらも減ってしまっているので困ったことになっているのです。

 

ちなみに母は特別支援学級の臨時採用です。

 

3. 校務分掌・部活指導

「教員になるのはやめたほうがいい」と言う主張をいろんなところで聞きます。

Twitterだったり、教職過程の授業を受けている友人だったり、父親だったり。

 

その大きな要因の1つが、校務分掌や部活動などの「授業に関わらない業務」による教員の多忙化です。

臨時採用の方が減っているのもその影響が大きいでしょう。

 

校務分掌とは、学校内の運営上必要な業務分担のことです。

例えば、

  • 式典の企画
  • 時間割の作成
  • 生徒会・委員会などの運営
  • 進学・就職などの進路支援
  • 身体測定や検診などの企画・準備
  • 学校ホームページの作成
  • 教育実習・教職員の研修 etc.

 

挙げるだけでもキリがありません。

これでもまだほんの一部です。

 

僕たちが小学生の時に先生がこんなたくさんの業務を裏でこなしていたとは想像もできませんよね、、

 

いくら分担して作業しているとしても、ただでさえ丸付けなどで昼休みも職員室で休めないような先生たちが、さらにこれらの授業に関係のない業務によって多忙化しているのです。

 

授業に関係ない業務といえば、最たるものが部活指導ですよね。

僕の高校のサッカー部は外部指導者でしたが、顧問の先生方も週末にはアウェイの練習試合に帯同していました。

 

外部指導者というのは雇うのにお金もかかるので、すべての部活で外部指導者を雇う、といったことはできません。

そのため、今まで経験したことのないような部活動の顧問を半強制され、苦しい思いをしている教員がたくさんいます。

 

そもそも、部活動の顧問というのは実は強制ではありません。

教職員の任意で奉仕的な精神のもとにのみ任命されます。

 

しかしながら、部活動の顧問を断ったことで職員室の中で村八分に会う、という見えない恐怖に怯えてしまうことは珍しくありません。

 

教員はもともとが「子どものために」というメンタリティであることが多いこともあって、はっきりと顧問を断れる教員はあまりいないでしょう。

 

にもかかわらず、法律は「部活動はボランティアである」との判断で、業務としては認められず、どれだけ働いても残業代は出ません

 

「給料は出ないけど働け」と言われて喜んで働く人はいません。

子どもが好きだからと言うだけで身を粉にして働けるほど、人間は強くありません。

 

残念ながら、教採の倍率が下がるのもうなずけます。

 

4. 給特法

「部活指導に対して給料を出さない」ことの根拠がいわゆる給特法(公立の義務教育諸学校の教職員の給与等に関する特別措置法)です。

 

教員も公務員なので、本来は労働基準法に定められた労働時間・給与であるべきなんですが、給特法によってそれが捻じ曲げられています。

 

まず、教職員には「原則として超過勤務を命じない」というルールがあります。

 

超過勤務を命じる場合は、「超勤4項目※」と呼ばれる業務に従事する場合、なおかつ臨時または緊急のやむを得ない必要があるときに限られる、と決められています。

 

 ※「超勤4項目」

…①校外実習その他生徒の実習に関する業務

 ②修学旅行その他学校の行事に関する業務

 ③職員会議に関する業務

 ④非常災害・生徒指導・その他やむを得ない場合に必要な業務

 

教員が超勤4項目にあたる業務に従事するとき、それは学校の命令ではなく教職員が自主的に時間外労働を行っていることになるため、残業代は出ません。意味わからん。

 

これらの時間外業務の補填として、給料月額の4%が教職調整額として支給されることになったのです。

 

でも、月給の4%ってどう考えても少ないですよね。

公立学校の教員の勤務時間は都道府県または政令指定都市によって7時間45分と定められているので、その4%となると、たったの18分/日(1時間半/週)です。

確実に毎日4%以上残業していると思うのですが、、

 

どうしてこんなことになってしまったかというと、それは給特法の制定時まで遡ります。

 

給特法の制定は昭和46年です。

当時も教員の超過勤務を原則禁じ、残業代は支給されていませんでした。

 

しかしながら、教職員の時間外労働が横行するのが実態。

各地で超過勤務手当ての支給を求める、いわゆる「超勤訴訟」が起こりました。

 

このような経緯で、当時の教員の時間外労働時間を包括的に鑑みて、4%という教職調整額が設定されました。

 

それから40年以上たった今でも、「当時の時間外労働時間」を基準に設定された調整額を維持しているのです。

 

残業時間は今の方がずっと長いので、もはや4%という数字は何の意味も持っていないのです。

 

5. 教育予算の少なさ

じゃあ今の残業時間に見合う教職調整額にすればいいじゃないか!と思う人もいるかもしれませんが、それも現実的ではありません。

 

以前記事にも書きましたが、日本の公的教育支出はOECD加盟国内で最下位です。

それを私的教育支出で賄っているのが日本なんですが、家庭から出たお金じゃ教育公務員の給料は払えませんよね。

 

shin-catus.hatenablog.com

 

そういうわけで、教職調整額を10%にしたところで、支払えないというのが現実です。

 

しかし、支払えないということはつまり

残業代が通常通り支払われる環境になれば、それ自体が残業を抑制することに繋がるということです。

 

だけれど、それと教育支出の少なさは別問題です。

 

少人数教育のために教員の数を増やすとなると、その教員の数だけ年間の給与が増加します。

 

ICT教育を推進するにしても、タブレット端末を生徒一人一人に買い与えるのはお金がかかります。

 

「教育」は、国家の成長にとってとても重要なセクターです。

貧困や様々な格差問題を解決する手段でもあります。

 

そこに手を抜くのは、国として許されることなのでしょうか?

 

今一度、心に問うてみていただきたいと思います。

 

おわりに

僕は教員ではありません。

教職課程も経てません。

 

それでも日本教育の問題をどうにかしたいと思ってます。

 

大学院の先輩に会いにいった時に、先輩が言っていました。

 

「僕はこの世の教育問題全てを教育経済学を通して解き明かしたい」

 

素晴らしい理念だと思いました。

しかし、教育経済学はそれを理解できる人にしか説得力を持ちません。

 

このブログを通してできるだけわかりやすく説明したいと思ってはじめましたが、それにも限界があります。

(PV数も伸び悩んでいるし、、笑)

 

なので、冒頭にも書きましたが、皆さん一人一人が教育問題に関心を持つことが大事なんです。

 

悲しいことに、意外とみんな教育問題に興味を持っていません。

 

人間は利己的なので自分の関わらない問題には積極的になりづらいものです。

 

でも、日本の教育問題は、日本の未来の問題です。

あまりの忙しさに人が心を病んでしまったり、自ら命を落としてしまうのを黙ってみてるわけにはいきません。

 

この記事は普段教育にあまり関心のない人へのメッセージを込めてます。

その人たちの目につくように、この記事を広げていただけたら嬉しいです。

 

ありがとうございました!

 

※追記

僕は教師ではありませんので、記事の内容が実際と異なることもあるかと思います。

その時は、読んでいる方に誤解を招かないために目に付く形(コメントなど)で伝えていただけると助かります。

 

〈参考〉

文部科学省初等中等教育局(2018)”いわゆる「教員不足」について 配布資料3−5”. 文部科学省(10月29日アクセス)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/002/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/08/08/1407922_10.pdf

 

学校における働き方改革特別部会(2017)”公立学校の教育公務員の勤務時間等について 配布資料5−1”. 文部科学省(10月29日アクセス)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/siryo/__icsFiles/afieldfile/2017/11/10/1398078_5-1.pdf

 

文部科学省初等中等教育局(n.d.)”資料1 昭和46年給特法制定の背景及び制定までの経緯について”. 文部科学省(10月29日アクセス)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/042/siryo/attach/1259040.htm